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新メルマガ『人づくりの真髄−教育専門メルマガ−執筆者石田勝紀氏が紹介する書籍  vol.72(5/1発行)・vol.71(4/13発行)
 
■『教育の正体』(日下公人著, ベストセラーズ)

 日下公人氏は反米、保守派の論客であり、斬新な発想で有名な方です。日本長期信用銀行の取締役をされ、東京財団の会長をされるなど、多くの名誉職を兼任されています。また、学生の頃は、「生活即教育」を理念とした自由学園に通い、東大の経済学部へと進学されています。教育についても相当な見識を持っており、教育学者とは異なった視点で大胆かつ本質的テーマをお持ちです。また、本書では将棋の米長氏との対談が約半分を占めておりますが、東京都教育員会の教育委員も務めておられる米長氏も日下氏に勝るとも劣らない論客であります。

 例えば、「親のほうが先生より学歴が高くなって学歴自慢という病気にかかっている。(日下)」「世界中の労組の歴史の中で日教組の運動は唯一例外である。日本の先生の組合というのは、全て自分たちの地位低下のための歴史である。労組というものは本来は生活の安定、職場の安定、労働条件の改善を求めるものであるが、日教組は人間としての対等・平等ということで教壇を無くしてしまった。(つまり教壇があると上から目線の指導となり、対等でなくなるため)つまり『我々は聖職ではない。労働者だ』というのをやった。その結果、教師の地位は低下した。(米長)」「何かに熱中するのは情の高まりで、そこから意が生まれる。知はそのあとである。しかし『教育者』はそれを逆の順に教えたりする。(日下)」などなど、斬新な意見がかなりたくさん書かれています。

 最近は、このような意見を持つ者は少なくなったといいます。大人しく小さくおさまり、発言も批評、批判はするが、それもテレビのコメンテーターレベルであり、何も社会に変化を与えることはない人が多いといいます。そのような意味で、本書は驚きの連続ですが、良い刺激になります。
 
■ 『学力低下が国を滅ぼす』(西村和雄編集, 日本経済新聞社)

 本書は、2001年出版の本です。ご存知の通り、授業時間数の削減や完全週休2日制が施行される前の年です。また、「分数のできない大学生」というフレーズが一世風靡したのもこの頃です。全9章から成り立っており、学力低下に関する内容がほとんどです。これら9章は全て筆者が異なり、経済学教授、理学系教授、農学系教授などから構成されますが、教育学の教授が含まれていないことも一つの特徴となっています。その中でいくつか興味深いテーマがありましたのでご紹介します。

 第8章「指導要領改訂がもたらした学力低下」の中に「教師の質の低下」というものがあります。最近は優れた教師が急速に減っているとし、優秀な教師といえども、課外活動その他に時間を取られ十分な授業準備をできないのが現実であるとしています。また、教員養成審議会では、教師の資格をとる為に教科専門教育の必要単位数を半減させるなどの愚かな決定を批判し、心理ケアなどの時間を増やしたといいます。まずは教科をしっかりと学ばせるべきであるといいます。確かに教員養成に関して昨今、心のケアが必要な状況であり、それも必要でしょうが、必要な教科学習を向上させることはもっと重要でしょう。

 第9章「矛盾だらけの学力低下否定論」の中では、「本当にわずかな低下か」というテーマで、IEA(国際教育到達度評価学会)の1999年に実施された世界38か国の中学2年生の結果で、1995年と比べると平均点はわずかながら低下したが上位5位に入っているので生徒の学力は低下していないという文部科学省のコメントに警鐘を鳴らしています。実は統計の取り方に大いなる錯覚があり、下位17か国中10か国が前回は参加しなかったか、データが不十分な国であるといいます。つまり、前回に比べ下位の国が多く入ったということです。しかも得点は素点ではなく偏差値換算されています。したがって、下位が増えれば前回参加した国は実力が変わらなくても偏差値が相対的に上昇します。しかし日本はほとんど変わらなかったか若干下がった状態です。ということは実際は大きく下がっているということになります。統計は非常に難しく、単純に結果だけで早計に判断すると大変大きな間違いを犯すこともあります。マスコミはそれを利用して目を引くデータを強調しますが、統計によって示された結果をそのまま鵜呑みにすることの危険性をこのデータは物語っています。

 そして最後に第9章で「解決のために」ということで学力低下問題を解決するための提案が5つ書いてあります。
 (1) 何よりも授業時間数の確保を
 (2) センター試験を資格試験にする
 (3) 少人数クラスの実現
 (4) 資質の高い教員の養成・採用
 (5) 大学と小・中・高の連携
この中で私は(3)と(4)を以前より教育政策の根本として提言しています。ここでもやはり提案事項として掲げられていました。

 このように約10年前の本ですが、今でも隔世の感なく読めるということは、日本の教育はこの10年で大して変わっていなかったということなのでしょうか。
 
これまでメルマガ内でご紹介した書籍中の売上げトップ10
■『修身教授録』(森信三 著 致知出版)
  
この本をご存知でしょうか。非常に有名な本です。本当は教育者になる人の必読書になってもいい本なのですが、
実際は経営者の方がよく読まれているようです。経営の根幹には教育があるからです。500ページ以上にわたるこの本には、
人の生き方、教師としての心構えが様々な観点から書かれています。

昭和12年から13年間、大阪天王寺師範(現大阪教育大学)専攻科の倫理・哲学の講師であった先生が、
本科一部生の「修身科」の授業も担当されるようになったときの講義録です。
戦前の内容でありながら、今も多くの人の心を打つということは、それだけ真理が書かれている本なのです。

これから、教員を目指す方や現場で教育事業に関わっておられる方は、ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。
全部で68講義分がありますので興味のある項目だけでもいいと思います。
要約は割愛しますが、人としてあるべき正しい姿をあらゆるジャンルの角度で説明されています。
  
■『教えるということ』(大村はま 著 共文社)
  
大村はまさんは国語の教員で、90歳を超えても教育に情熱を傾けた方です。
大村さんの本はたくさん出版されていますが、この『教えるということ』は教師とはどうあるべきかを簡潔にとてもわかりやすく説かれています。
国語の先生でなくても、この本は一読に値します。
 
 
■『教師としていちばん大切なこと』(キエフ・エスキス著,PHP研究所)
  
この本は全米でもっとも注目されている小学校教師が書いた本です。
教師として歴史上はじめて国民芸術勲章を受けています。
アメリカの教育を根本から変える力を秘めた教師として、メディアからも注目されています。
アメリカでも公立学校は問題が多いようです。その問題の本質は教師です。
生徒に問題があるのではなく教師に問題があるのです。もちろん家庭に問題があるために、
生徒にその問題が転化されている場合も少なくありません。しかし、それを正す役割が学校であり教師であるのです。

よく教師は生徒に問題があるため指導に限界があるといいます。
しかしそれが間違った考え方であることが本書を読まれるとおわかりいただけるでしょう。
  
 

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私学教員をめざす方

 教員免許が必要、という条件に変わりはありませんが*、都道府県でおこなわれる教員採用試験に受かる必要はなく、
 私立学校が個別に実施する採用試験には合格する必要がある、という違いがあります。
 よって公立校の教員よりも、授業運営や教材の使い方などより実践的なスキルや経験が大いにものをいうということが言えるかもしれません。
 また塾講師と異なり、生徒指導などを求められる場合もあり、人間的にもバランスの取れているキャラクターであることも必須条件かもしれません。


  
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